令和2年予備論文試験再現答案:刑訴

傷害罪(刑法204条)の公訴事実に対して、訴因変更せずに常習傷害罪が成立するとして免訴(刑訴法337条1号)の判断・判決をするのは、「審判の請求を受けた事件について判決をせず、又は審判の請求を受けてない事件について判決」をすることにならないか(378条3号)。

たしかに当事者主義(256条6項、298条1項、312条1項)から、審判対象は一方当事者たる検察官の主張する犯罪構成要件に該当する具体的事実たる「訴因」だ(256条3項等)。

しかし、迅速な裁判のため(1条、憲法37条1項)、裁判所に対して審判対象を確定させ(識別)、被告人に防御の範囲を示す(告知)訴因機能の見地から、訴因と判断・判決との間に重要な事実の変化がある場合のみ訴因変更を要すと解す。

傷害罪(旧訴因)と常習傷害罪(新訴因)は、罪名・構成要件が異なるので、審判対象の確定の点で重要な事実の変化があるといえるため、新訴因について判断・判決をするには訴因変更を要す。

旧訴因と新訴因は、被告人が令和元年5月15日にL市内の路上で丙を殴るなどして傷害を負わせたという基本的事実関係は同じなので、訴訟経済と当事者の手続き的負担の見地から別訴ではなく一回の訴訟で解決しようという312条1項の趣旨から「公訴事実の同一性を害しない」といえる。よって、検察官は訴因変更請求ができる。

検察官がこれをしなければ、裁判所はまずは釈明を求めるなどして訴因変更を促すべきだ(規則208条1項)。

これに応じなければ、裁判所は訴因変更命令(312条2項)をすべきだ。

当事者主義から、これらは裁判所の義務ではないのが原則だが、重大事件の真実発見の見地から(1条)、訴因変更することで有罪となることが証拠上明白で犯罪が重大な場合は例外的に義務となる。

本問では訴因変更されると、甲は免訴となり有罪にならないので、原則通り義務ではない。

当事者主義から、同命令に形成力はない。

よって、検察官が釈明・命令に応じれば、新訴因に対して常習傷害罪が成立するとの判断に基づき免訴判決をすべきだ。

検察官が同命令に応じなければ、旧訴因に対して傷害罪が成立するとの判断に基づき、有罪判決をすべきとも思える。しかし、命令等に応じれば、新訴因に対して免訴判決がされるのに応じなければ有罪判決がされるのは不合理だ。また、一方当事者たる甲の弁護人は①の起訴事件と②の起訴事件はともに常習傷害罪と主張している。よって、被告人の保護のために「無罪」(336条1項)との判断・判決をすべきだ。

仮に①の起訴が常習傷害罪の公訴事実でその罪により有罪判決が確定しても、上記と同じようになる。

【感想】

刑訴はマジでわからなかった。

だから普段は刑訴から先に解くけど今回は刑法から解いた。

「いつも通り解く」に反するようにも思えるが、この手の順番変更はどの科目でも織り込み済み。

とにかく刑訴は比較的好成績が取りやすいと思ってたのでショック。

どのパターンかと言えば、訴因パターンが一番近いと思ったので、その処理手順に乗せた。

自分でもめちゃくちゃなことを書いたと思うし、大変なことをしてしまった感がもっともある科目。

でも切り替えて一般教養は刑訴の雑念なく頑張った。

あと、再現を書いてる途中に気づいたけど釈明と訴因変更命令の順を何故か逆にした説もある。。

被告人保護のために無罪判決をすべきというのはどの条文かで理由付けしたけど忘れた(1条ではなかった。民法の信義則だったような気もする)。

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