令和4年司法試験再現答案:民訴法

設問1

第1 課題1

1 本件訴訟の被告が甲となるような見解

(1)だれが当事者かは訴訟手続き進行の基礎をなすため、訴訟手続き開始段階で客観的に明らかにする必要がある。そして、同段階の裁判所には訴状くらいしか当事者確定のための資料がない。そこで、訴状の当事者らんの記載はもちろん、不自然な結論を避けるため、請求の趣旨・請求原因も含めた訴状の一切の記載を合理的に解釈して判断すべきである。

(2)たしかに、訴状の当事者らんには、本件事務所の所在地を住所とする「株式会社Mテック」を被告として表示していた。また、本件訴訟に係る訴えの提起時において「株式会社Mテック」は乙の商号である。とすると、当事者らんの記載からは被告は乙とも思える。

しかし、請求の原因として、記載されている(1)、(2)は令和2年4月10日に、X甲間で本件賃貸借契約が結ばれたことと一致する。また、請求原因(3)は、賃料の支払いが滞り、令和3年3月の時点で賃料の未払いは3ヶ月に及び、Xが同年3月10日に甲に催告するとともに、その支払いが無ければ本件賃貸借契約を解除するとの意思表示をしたことと一致する。

とすると、本件訴状の一切の記載を合理的に解釈すれば、被告は甲と考えるべきである。

2 本件訴訟の被告が乙となるような見解

(1) 上記1(1)の「だれが当事者かは~資料がない」(〇行目~〇行目)という考えが妥当する。そこで、手続の安定のため、訴状の当事者らんの記載から形式的に当事者を判断すべきである。

(2) 上記の通り、本件訴状の当事者らんの記載から形式的に被告は乙と考えるべきである。

第2 課題2

1 (1)乙の代表取締役Aは乙を代表して訴訟追行する権限を有する(37条、28条)。

(2)ア ここで、裁判上の「自白」(179条)とは、期日において相手方の主張する自己に不利益な(相手方に証明責任がある)事実を認める旨の弁論としての陳述をいう。

イ 乙は第2回口頭弁論期日において、Xの主張する自己に不利益な請求原因事実を認める旨の陳述をしたから裁判上の「自白」が成立している。

(3) よって、裁判所はこのA陳述につき、自白が成立していると扱うべきである。

2(1)ア 裁判上の「自白」が成立すれば、当該事実は不要証となる(179条)

また、裁判所は当事者間に争いのない事実はそのまま判決の基礎としなければならない(弁論主義第2テーゼ:裁判所拘束力)。

このように自白の相手方は裁判上有利な地位を得るので自白者が自白を撤回してこの地位を奪うのは原則として認められない(当事者拘束力)。

イ よって、Aの自白の撤回は原則として認められない。

(2)ア もっとも、a相手方の承諾があったり、b刑事上罰すべき行為によって自白がされたり(338条5号)、c自白が真実に反し、かつ錯誤に基づくときは自白の撤回が認められる。

イ 本件でabにあたる事情はない。

また、本件賃貸借契約を結んだりしたXの相手方は、被告の乙ではなく、甲である以上、Aの上記自白は真実に反するとはいえる。

しかし、Aの上記自白は、時間稼ぎ目的でされたものであるため、錯誤に基づくとはいえない。

よって、cにあたる事情もない。

よって、原則通りAの自白の撤回は認められない。

(3) 以上から、Aの自白の撤回について、裁判所は却下すべきである。

設問2

1 訴えの主観的追加的併合は原則として認められない。

2(1)本件訴訟において、Xは被告が甲であることを前提に訴訟追行してきたため、訴訟資料を流用できる。よって、新たに甲に対する別訴に対し、係属中の本件訴訟の訴訟状態を利用できるため、訴訟経済に資する。

(2)判決の言渡期日の直前に、Aが主張した(2)、(3)についてXは争わないから、全体として訴訟を複雑化させる弊害は予測されない。

(3)令和2年4月14日、Aは、本件事務所の所在地を甲の本店とする本店移転の登記をし、Xにその旨を伝えた。

また、Aは、Xの訴えを空振りさせて時間稼ぎができるよう一計を案じ、令和3年4月2日、まず甲の商号を「株式会社Gテック」に、代表取締役をAの配偶者Bに変更し、商号変更等の登記をした。乙の商業登記簿上の本店所在地、目的等は甲のそれと同一であった。

そして、Xは令和3年4月20日、Aによる一連の行為を知らぬまま、本件訴訟を提起したのである。

このように本件はAがこうみょうだったといえる。

そして、本件訴訟はXの本人訴訟だった以上、被告を間違えるのはやむを無いといえ、Xが軽率だったとはいえない。

よって、本件訴訟で甲を被告に追加するXの申立てが認められても、軽率な提訴等が誘発されるおそれはない。

Xの上記申し立てを認めないと、むしろAのような時間稼ぎを誘発するといえる。

(4) 上記の通り、訴訟資料の流用ができるため、Xの上記申立てを認めても訴訟の遅延を招かない。

3 よって、甲を被告に追加するXの申立てが認められる。

設問3

1(1)「文書」(231条)とは、紙媒体の物件で直接内容を見ることができるものをいう。

(2)USBメモリ(以下「USB」)は、情報を電磁的に記録する媒体であり、情報を表すために作成されたものといえるが、紙媒体ではなく、また、情報の読出しにはコンピュータ等の出力機器が不可欠だから直接内容を見ることができない。

よって、USBは「文書」にあたらず、「文書でないもの」にあたる。

2(1)録音テープ等は情報を機械に記録するものであり、何か機械を用いて出力することで内容が明らかになる。そこで、情報を機械に記録するものであり、何か機械を用いて出力することで内容が明らかになるものは「録音テープ」等に準ずる物として「情報を表すために作成された物件」にあたると解する。

(2)USBは、情報を電磁的に記録する媒体であり、コンピュータ等の出力機器によりその内容が明らかになる。

よって、USBは「録音テープ」等に準ずる物として「情報を表すために作成された物件」にあたる。

3 よって、231条をUSBに適用することができる。

以上

【感想】

設問1は「338条1項5号」とすべきところを「338条5号」としてしまいました。

そして、設問2はとんでもないミスをまたやらかしました。

「『明文なき』訴えの主観的追加的併合は原則として認められない。」とすべきところを『明文なき』を飛ばしてしまった可能性がかなり高いです。

設問3の「文書」は刑訴の論証を少し応用しました。

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