令和3年予備論文試験再現答案:商法

設問2

1(1) 甲のBに対する本問請求の根拠は不当利得返還請求(民法703条)である(以下、内容)

(2)ア 退職慰労金(以下「イロー金」)は、「取締役」の在職中の「報酬」の後払い的性格を有する(会社法361条1項柱書)。また、イロー金は、現役取締役が自己がイロー金をもらうときのための前例作りとして不当に高額とする(お手盛り)弊害がある。ここで、同規定の趣旨は、取締役会がその構成員たる取締役の報酬を決めるとお手盛りの弊害があるため、会社の実質的所有者たる株主の判断に委ねようとする点になる。そうすると、イロー金もお手盛りの弊害がある点で同じでこの趣旨が妥当するため、イロー金は「報酬等」にあたると解すべきである。

イ そうすると、本件慰労金(以下「本件イロー金」)は、「定款」や「株主総会の決議」で定められないといけない。

しかし、役員の報酬について定款で定められていない。また、創業以来甲で株主総会が現実に開かれたことはない。そのため、本件イロー金は、「定款」や「株主総会の決議」で定められていない無効なものであり、「法律上の原因」がない。民法703条の他の要件も満たす。

2 Bの主張

(1) たしかに、本件イロー金は「定款」等で定められていないから無効にも思える。しかし、上記趣旨から株主総会に代わる株主の意思がイロー金に反映されていればよいと解すべきである。

(2) Aは、Bを引き抜いた際、取締役退任時に本件内規に基づいてイロー金が支給されると説明していた。当時、Aは甲株式の100%を持っていた。そして、本件イロー金は本件内規に基づいて実際に払われた。そうすると、株主総会に代わる株主Aの意思が本件イロー金に反映されているといえる。よって、本件イロー金は有効であり、「法律上の原因」がある。

(3) よって、甲の本問請求は認められない。

3 Bの主張の当否

(1) Bの主張通り、株主総会に代わる株主の意思がイロー金に反映されいれば良いと解する。

(2) Aは上記説明をしたとき、甲株式の100%を持っていた。しかし、本件イロー金が支給されたときは甲株式の80%しか持っておらず、10%はBが、もう10%はCが有していた。そのため、どの時点での株主の意思が反映されていればよいか問題となる。

(3) イロー金も含めた報酬は、具体的に定められた時点で委任契約に似た任用契約(330条、民法648条1項)の内容となるから、それ以降は取締役の(黙示の)承諾なしに減額等できないと解する。

(4) 本件内規は役職や勤続年数に応じた機械的な算定方法がとられているため、上記説明がされた時点で、本件イロー金は具体的に定められたといえ、任用契約の内容となった。Bは、本件イロー金の減額等について(黙示の)承諾をしていない。そのため、上記説明時点での株主の意思が反映されていれば本件イロー金は有効である。上記通り、甲株式100%を持つAの意思が本件イロー金に反映されている。よって、本件イロー金は有効である。

(5)よって、Bの主張は妥当である。

設問1

(1) Cは、取引基本契約の契約書に「代表取締役副社長C」と記名してFに指示して代表印を押させた。また、同契約の際、Cは甲代表取締役副社長として振るまっていた。そうすると、「副社長」の「名称」という外観があった(354条)。

といっても、CはBら他の取締役の承諾を得ていなかったから、「付した」とはいえない。

しかし、同条の趣旨は、平取締役に代表権があるとの外観作出につき帰責性ある会社より、外観を信頼した第三者を保護して取引の安全を図る外観法理にある。そこで、外観作出について会社に帰責性があれば実質的に「付した」といえると解する。

上記契約の前に、Cは、Aと相談して承諾を得たうえでCを代表取締役と選定する臨時株主総会決議があったものとして株主総会議事録を作成し、Cを代表取締役に追加する旨の登記がされていた。とすると、上記外観作出について、計90%の株式を持つACの合意があったといえ、実質的に甲の帰責性が認められる。そのため、実質的に「付した」といえる。

重過失あるものは悪意者と同視できるから、「善意」とは善意無重過失と解する。

上記の通り振るまうCを乙の代表取締役は信頼していた。また、上記の通り代表印が押されていたところ、これは信頼の対象となる。さらに、CはAの息子である。そのため、乙は善意無重過失といえる。

よって、甲は同契約について責任を負う。

(2) 本件代金は2000万円だから同契約が「重要な財産の処分」(362条4項1号)を伴うものでも、上記事情から、乙は善意無過失であったといえ、契約は有効である。

(3) よって、甲は2000万円を支払うべきである。

2 乙の主張の当否

(1) 妥当である。

以上

答案作成時間:約1時間10分

【感想】

設問1が難しかったので設問2を書いた後、民訴に行って、戻ってからそれでも設問1がよくわからなかったので、「Bの主張の当否」を厚くしました(当初は「Bの主張は妥当である」くらいしか書いてなかったと思います)。

そのため、構成なしだったので、変な書き方になったと思います。

設問1は、354条と908条1項前段反対解釈の問題かと思いましたが、捻られていて難しかったです。

よくわからなかったので触れませんでした。

あと、「重要な財産」のやつを書いたのは明らかに間違いでした。

ほかにも粗が多いです。

正直全体としてここまでの量を書けたつもりはないですが、部分部分はちゃんと再現したつもりです。

※この記事を見た人は以下の記事も読んでます。

>>令和3年予備論文試験を終えて、これからのことなど。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする