令和3年予備論文試験再現答案:刑訴【E評価】

設問1

1 本件事件は令和2年10月2日午後2時ごろに行われ、事件があったV方から約5km離れた場所で、同日午後4時3分頃に甲は①の逮捕(以下「①」)をされたから、事件と逮捕には時間的場所的近接性があるといえる。そうすると、甲は「現に罪を行い終わつた者」(212条1項)にあたると思える。

2 (1) しかし、(準)現行犯逮捕逮捕が無令状で認められるのは、事件と犯人性の明白性につき逮捕者の判断に客観性が保障されている点にある。とるすと、上記保障がなければ、「現に罪を行い終わつた」といえないと解する。

(2)ア たしかに、逮捕者Pは甲の犯行を現認していない。また、甲の特徴とVが話した犯人の特徴が一致していたとしても、相当特徴的でない限り同じような特徴の者はほかにも相当数いるだろう。そのため、上記保障はないとも思える。

イ しかし、犯人と甲の特徴だけが一致していたのではなく、「犯人ら」と「甲ともう1名の男」の特徴や被害品の特徴も一致していた。また、Vは犯人と鉢合わせになり間近で目撃しており、その直後の2時20頃に上記協特徴を話したからその供述は新鮮な記憶に基づく。とすると、V供述は信用でき、その特徴と上記3つの特徴が一致していたことから、犯人性の推認力は強い。

ウ 被害品と甲が所持するバッグの特徴が一致することから、甲が所持していたのは被害品と思われる。被害品は犯行時に犯人が所持してる物であり、短時間の間に、他に犯人がおり、その物を経由して被害品を入手した可能性は低く、入手経路について合理的な弁解がない限り、所持してる者が犯人である可能性が高い。甲はPから声をかけられるといきなり逃げ出しており、上記弁解をしていないから、甲の犯人性の推認力はこの点でも強いといえる。

エ 甲は上記の通り逃げだしたが、これは犯行後に逮捕を免れるためにとった行動と思われ、この点でも犯人性の推認力が働く。

オ よって、犯人の明白性について、Pの判断につき上記保障がされているといえる。

カ さらに、信用性あるV供述から事件の明白性についてもPの判断に客観性が保障されているといえる。

(3)よって、甲は「現に罪を行い終わつた」といえる。

3 甲は、Pから声をかけられるという形で「誰何されて」上記のとおり「逃走し」た(212条2項4号)。

4 よって、①は適法である。

設問2

1 ①の逮捕をされて「身体の拘束を受けている~被疑者」甲は「弁護人を選任~できる者」たる甲の父親(「直系親族」(30条2項))の依頼により弁護人となろうとする者」Sとの間で接見交通権を有する(39条1項)。

2(1) これは被疑者に弁護人から支援を受ける機会を保障する憲法34条前段に由来する権利である。しかし、被疑者の身体拘束にも期間制限があるため(203条~)、被疑者の取り調べ等の捜査の必要性との調整を図る必要がある。そこで、「被疑者のために必要があるとき」(39条3項)として接見を拒めないか。

(2) 接見交通権と上記捜査の必要性との調和から、「被疑者のために必要があるとき」とは、取り調べ等の中断により捜査に顕著な支障が生じるおそれがあるときと解する。

(3) Rは同日午後4時50分頃、弁解録取手続きが終了し、直ちに甲にナイフの投棄場所を案内させて、ナイフの発見、押収及び甲を立会人としたその場所の実況見分を実施しようと考えていた。そして、同日午後5時ごろ、Rが出発しようとしたときに、Sから、同日午後5時30分からの30分間の接見の申し出があった。しかし、Sが到着し、接見を終えてから出発したのでは、現場に到着する頃にはあたりが暗くなることが見込まれていた。とすると、ここで上記接見を認めると捜査への顕著な支障が生じるおそれがあるといえる。

3(1) しかし、甲はSが接見を申し出るまでの間に弁護人及び弁護人となろうとする者のいずれとも接見していなかった。とすると、Sとの接見が初回接見である。

(2) 初回接見は、被疑者が弁護人を選任し、助言を得る最初の機会として弁護人選任権の保障の出発点をなすもので、被疑者の防御に極めて重要である。とすると、捜査機関としては、弁護人等と協議するなどして、捜査への顕著な支障を避けることができる場合は、即時又は近接した時点で短時間でも接見を認めないと「被疑者が防御の準備をする権利を不当に制限する」といえると解すべきである(39条3項但書)。

(3)ア RはSと何度か協議している。

イ たしかに甲は犯行を正直に話しており、凶器の場所も案内すると言っているから、罪証隠滅や逃亡のおそれは小さい。また、Sが申し出た接見は30分後の30分間という近接した時点の短時間といいうる。

ウ しかし、凶器はナイフという小さいものであるため、暗くなったら発見が困難となる。また、甲以外のもう一人の男は捕まっておらず、その者も凶器を捨てた場所を知っているだろうから、その者が拾う前に先に見つけて保全しておく緊急の必要性が高い。さらに本件事件は強盗傷人事件という重大事件であり、凶器はその重要証拠だからなお保全の必要性が高い。そして、犯行を自白している甲が凶器を捨てた場所についてウソをつくとは考え難く、甲の案内に従えば凶器を発見できるがい然性が高い。そうすると、接見を認めると捜査への顕著な支障を避けることができないといえる。また、Rは接見を午後8時以降にしてほしいと近接した時点での接見を提案している。よって、「被疑者が防御の準備をする権利を不当に制限」したとはいえない。

4 よって、②の措置は適法である。

以上

答案作成時間:約1時間7分

【感想】

刑訴は完全に自爆しました。

212条2項の話なのになぜか1項を書いてました。

本当にバカすぎます。

もう死にたいくらいです。

憲法のミスとは比較になりません。

ちゃんと準現行犯逮捕とわかってたつもりなのですが、ゴッソリ設問1を落としました。

なんで1項にしたかは、準現行犯逮捕でここまでガッツリ犯人の明白性について客観性の保障を書くような問題がなかったからかもしれません。

論パタでは1項ですからね(論パタはまったく悪くないです)。

「罪を行い終わつてから明らかに間がない」と書かないといけなかったのに。。

刑訴はいけたと思っていたので、本当に辛いです。

でも、全部実力です。

精進します。

憲法のミスもそうですが、試験が終わるまで気づかなくて本当に良かったです。

刑訴のミスは2日目は放棄したくなるほどのものですから。

これからも再現作成でまたとんでもないミスが見つかると思うと怖いし、辛いです。

何のために生きてるんだろうとかそういうことまで考えるレベルです。

設問2は接見交通パターンとして独自で抑えておくやつでした。

去年まで論パタをやりこんでいたのでスムーズでした(設問1もスムーズでした)。

去年と違い、結果的に今年の刑訴は論パタと過去問でいけました。

しかし、去年のあれを体験して、かつ行政法でオーソドックスでない問題の出題が続いてることから、刑訴でも同じようなことは起こりうるため、重問をやったのは良かったと思います。

実際重問の問題でも(当然ですが)現行犯逮捕や接見交通権の問題はありましたし、何度も繰り返し解いたやつより学習効果は高かったと思います。

今回の刑訴は書くことがオーソドックスで早い段階で事案を把握できて事実もいい感じに拾えてたので答案作成中に欲が出ました。

結果的に刑法も通じて時間が足りなくなることはありませんでしたが、刑法が残っていてその問題文すら読んでなかったため欲を出すべきではなかったと思います。

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