質問 | 答え | 内心の動き (思ったことや感じたこと) | |
(ノック3回:伊藤塾が推奨) | |||
(ベルの音) | (ドアを開けて入室。 入った瞬間に主査が見える(副査も見えたかも?)。 ドアを閉めようとするも、換気のためか係りの人からドアを閉じるのを遮られる。) | (ドアを閉じるのを遮られて)え、マジ? | |
失礼します。 (少し歩いて椅子の横へ) 〇室〇番です。 よろしくお願いします。 | |||
本人確認をするのでマスクを外してください。 | (マスクを外す。) | ||
結構です。 | (「お座りください」がないから椅子の横に立っている。) | まだ座れないよね? | |
(座らないのかよみたいな感じで)「どうぞ。」
| 「失礼します。」 (と言って座る。) | ||
では今から事案を読み上げます。
Aは、脱衣所のかごにVが入れていたルームキーを取って、Aが客室のテーブルの上に置いている一眼レフカメラを換金目的で持ち去りました。
Aには何罪が成立しますか。 | 窃盗罪です。 | 事案に集中。
これは窃盗だな! | |
窃盗罪の客観的構成要件は何ですか。 | 「他人の財物を窃取した」です。 | 「客観的」構成要件だな。 | |
「他人の財物」とは何ですか。 | 他人の占有する財物です。 | ||
「窃取した」とは何ですか。 | 占有者の意思に反する占有移転です。 | ||
窃盗罪の占有とはどういうことを言いますか。 | 事実上の支配、いや事実上の占有、いやえっと占有の意思と事実。 いや事実上の占有です。 | えっと何のことを聞かれてる? 「事実上の支配」か? いや「事実上の占有」? もしかして占有の考慮要素か? いやでも過去問でも事実上の占有が保護法益とあった気が。 | |
それでは堂々巡りではないですか(呆れている感)。 | 事実上の支配です! | 辰巳の口述模試で新庄先生に教えてもらったやつ! やっぱ支配か。 | |
占有の考慮要素は何ですか。 | 占有の意思と占有の事実で、事実は財物自体の特性、物の置かれた場所的状況、時間的場所的接着性、支配態様から判断します。 | 定石に書いてあったことを思い出しながら話す。 | |
本件にあてはめると、どうやって占有が肯定されますか。 | あーと、えーと。 すいません、Vがホテルの客室でカメラをどのように保管していたかもう1度教えてもらってもいいでしょうか。 | 客室ではどんなふうにカメラを保管していたっけ? 金庫の中だっけ? (口述試験で泊まったホテルの部屋で金庫を発見して、たぶんこう考えました。) | |
Vは客室のテーブルの上に一眼レフカメラを置いていました。 | ありがとうございます。 | ただテーブルに置いていただけか。 | |
えっと財物の特性として一眼レフカメラは小さいので占有移転は肯定方向に働きます・・・ | まずは財物自体の特性か。 やばいやばい。なんかおかしなこと言ってる。 | ||
あ、えっと鍵をかけたホテルの客室なのでVの排他的支配下にあります。 | |||
わかりました。 | よかった! | ||
それでは事案を変えます。 Vは一眼レフカメラをホテルの客室に置いて鍵をかけずに帰宅しました。 そのカメラにたまたま気づいたAはこれを持ち去りました。 この場合、Aに何罪が成立しますか。 | 窃盗罪です。 | ホテルの占有があるから窃盗罪だよね? | |
どうしてですか。 | カメラはホテルの支配下、ホテルの支配人の支配下にあります。
また、お客さんが帰ったらホテルの従業員が自由に部屋に出入りできるので、従業員を介してホテルの支配人の占有がこの点でもあると思います。 | 「ホテルの支配人」に言い直し。 | |
ホテルの清掃員などは自由に出入りできますね。
しかし、このVが忘れたカメラについてホテルの支配人や清掃員が認識していませんでした。 この場合、占有の意思は認められますか。 | えーっと、お客さんが忘れ物をするのはホテルの想定内だと思います。
ですので、今回の一眼レフカメラの忘れ物の認識自体はなくても、抽象的に「忘れ物は自分たちが管理するもの」として占有の意思があると思います。 | 「清掃員」に言い直された。 | |
ではまた事案を少し変えます。
Vはホテルのロビーのソファーに一眼レフカメラを忘れてしまいました。 これをたまたま見ていたAがこれを持ち去りました。 何罪が成立しますか。 | 占有離脱物横領罪です。
| またこいつ「たまたま」見てたのかよ。。
これは公衆が自由に出入りできるから占有は否定されるよね?
ってか、忘れものだから遺失物横領罪が良かったかも。 | |
どうしてですか。 | ホテルのロビーは比較的多くの人が自由に出入りできるからです。 | 公園とかと違って誰もが入れるわけではないと思うから「比較的」とつけた。 | |
この場合、占有が認められることはありませんか。 | ホテルの従業員が、Vがソファーにカメラを置いて立ち去るのを見て
「あ、今あの人カメラを忘れていった。」
というときにはホテルの占有があると思います。 | ||
ほかにはありませんか。 | えーっと、そうですね。
えーっと。。 | まだ聞いてくるぞ。
ほかに何がある? | |
ソファーが特別席のような有料で限られた人しか座れない場合です。 | |||
※ここから手続きに行くまで記憶があいまいです。
それは占有の意思だけでなく、事実に関するものと言えますか。
| たしかに~(何か言った。)
しかし、監視の回復のしやすさは占有の事実に関するものだと思います。 | ||
それでは、事案を追加します。
Aは窃盗罪で逮捕・勾留されました。 罪証隠滅のおそれがあると思った検察官はAを起訴したいと考えました。 この場合、勾留状をとる必要はありますか。 | ありません。 | ないよね? 当然に被告人勾留に切り替わるし。 理由聞かれたら言おう。 | |
Aの国選弁護人は、本件の証拠収集は終わっているから捜査の必要性はなく、Aを釈放したいと考えています。 | 勾留状について突っ込まれなかったということは合っているのか。 | ||
このとき弁護人が取りうる手段は何ですか。 | 勾留取り消し請求。 | まずは準抗告とかだけど、起訴後だから自信がない。 まずは勾留取り消し請求。 | |
勾留の執行停止の職権発動の促し。 | 「職権発動」までちゃんと言う。 | ||
保釈。 | 起訴後だから保釈もだな。 | ||
それと、準抗告です。 | ほかのやつを言っている間にも考えていたけど、第一回公判期日前だから準抗告だよね? | ||
本件で準抗告はできますか。 | 第一回公判期日前なのでできます(震え声。。) | え、できないっけ? | |
本当ですか。 判例は何と言っていますか。 | 第一回公判期日前なのでできます(震え声・・・)。 | これは誘導か? でも揺さぶってきているだけかも。 ってか、「判例」って?(そんなの知らない。)
| |
保釈請求は誰にしますか。 | 第一回公判期日前なので受訴裁判所を構成しない裁判官です。 | ||
どうしてそうなるのですか。 | 予断排除の原則からです。 | ||
その予断排除の原則の趣旨を教えてください。 | 受訴裁判所が争点が明らかになる前に資料に触れると、被告人が犯人ではないかという心証を生じさせ被告人に不利益となりうるのでそれを防ぐためです。 | ||
それでは冒頭手続きをすることになりました。 冒頭手続きでは何をしますか。 | 人定質問をして、起訴状の朗読をして、黙秘権等を告げて、罪状認否をします。 | 「冒頭陳述」じゃなくて「冒頭手続き」だな。 これは覚えてきたぞ。 ミスらないように1個ずつ丁寧に。 | |
この人定質問でAが自己の氏名を黙秘しました。 Aはこの場合、氏名を黙秘していいのでしょうか。 | できます。 | できるよね? | |
法律ではあなたのおっしゃる通り、人定質問をして起訴状の朗読をしてから黙秘権を告げるというふうに規定されています。
しかし、人定質問で黙秘権が認められるのであれば、人定質問の前に黙秘権を告げるべきではないのでしょうか。 | 人定質問はそもそもそこにいるのが被告人か確かめるもので、被告人でなければその後の手続きが無意味なものになってしまいます。
ですので、まず初めに人定質問をする必要があります。
起訴状の朗読もそもそも事件に関するもので(ごにょごにょ)・・・ | やべ、起訴状の朗読は言わんでよかった。 | |
弁護人側としては罪状認否で自分たちの主張をしますからその直前に黙秘権を告知すれば大丈夫だと思います。 | |||
ではAが自己の氏名を黙秘した場合、どのように人定質問を行いますか。 | 写真や顔の特徴からAかどうかを確かめるんだと思います。 | 起訴状の朗読について突っ込まれんでよかった。
これは青本か定石に書かれていた気が。 | |
しかし、先ほどあなたがおっしゃったように予断排除のために裁判所側には手元に資料がありませんよね。 | 検察官や捜査機関から資料の提出をしてもらい、顔の特徴などを判断します。 | 検察官を捜査機関と別みたいに言ってしまったけど、まあいいか。 | |
しかし、そうするとあなたが先ほど言った予断排除の原則とバッティングしませんか。 | 顔の特徴などは事件そのものとは無関係で被告人かどうかというのを確かめるためなのでバッティングしません。
| 「バッティング」っていう(カタカナの)言葉使った!? | |
そうですか。
被告人が氏名を黙秘した場合、実務ではどのような取り扱いがされるか知っていますか。 | えっと、、、
ちょっとわかりません。
| さっき(ぼくが)言った写真や顔の特徴とかではないのか?
実務のことだから知らなくてもいいよな? | |
そうですか。次に行きます。
Aは本件の罪を認めました。 そして刑を軽くするためにAは 「Vに弁償したい。」 と考えている。
しかし、カメラを売ったことによる2万円は費消してしまいました。
だから、国選弁護人であるあなたに 「2万円を立て替えてほしい。」 「出所したら働いて返す。」 と言っています。
この場合、立て替え払いをすることについて倫理上問題がありますか。 | あります。 | 金銭の貸し借りの話か!
条文があるのは知っているけど、条文番号がすぐに出てこない。 とりあえず話そう。 | |
弁護士職務基本規程で立て替え払いをすることは禁止されているので問題があります。
| 条文は言いたい。 | ||
弁護士職務基本規程のニジュー、ニジュー、、 | 23条(秘密保持義務)の次の次だよな。27・28条の2つ前だよな。 | ||
ゴジョウです。 | 言えた! | ||
どんなときでも立て替え払いをしてはいけないのでしょうか。 | いいえ。 | そんなことないよな。 | |
弁護士職務基本規程ではどのように規定されていますか。 | 「やむを得ない事由」があった場合だと思います。 | 「やむを得ない事由」とかそんな感じだったよな。 | |
条文では「特別の事情がない限り」とされていますね。 | はい。 | そうか。
ま、でも大丈夫だろ。 | |
では本件は「特別の事情」にあたりますか。 | えーっと、 | どっちだ? 倫理だからどっちでもいいはず。 とりあえず趣旨を言おう。 | |
そもそも25条の趣旨は、弁護士が立て替え払いをすると当事者のようになり、職務公正を保てなくなるからです。 | 大島本か定石に書いてあったことを言う。 | ||
本件はえ~っと、本件もできないと思います。
立て替え払いをすると当事者のようになり職務の公正を保てなくなり、趣旨に反するからです。 | 今回のようなことを許すと基本的に何でもOKになるよな? | ||
はい。わかりました。
何かありますか(副査に聞く)。
(副査は首を横に振る。) | |||
これで終わります。 | (一瞬、反応できない。) | ||
これで終わりです。 | (起立。)
ありがとうございました。 | ||
ドアの前まで少し歩いていき、振り返って 「失礼いたします。」
(ドアを開けて、ドアの外では足元フラフラ。) |
【時間】
15~20分くらい?
そんなに長くは感じませんでしたが、時間感覚がバグっている状態なのでご了承ください。
【感想】
刑事実体法は窃盗という基本的と言っていい犯罪の、占有というこれまた基本的と言っていいことが聞かれたこと自体は難しい学説を知らないぼくにとってはよかったです。
最初のほうで何回かAとVを間違って言ってしまいましたが、そのたびにすぐに修正しました。
ソファーのときの占有でパニックになりましたが、後から思えば、公衆が自由に出入りできる場所でも時間的場所的接着性からAの占有を肯定できたと思います。※Aではなく、Vでした!ブログを書いていても間違う。
帰りに歩いているときに気が付きました。
あと、最初のほうで「事実上の支配」とはっきり言い直せたのは辰巳の口述模試で新庄先生に教えてもらったおかげです。
先生から模試で
「横領罪の占有とは何か。」
と聞かれたときに
「法律上の占有も含みます。」
「事実上の占有と法律上の占有です。」
とか何度も言い直していたところ、
「法律家が『占有とは何か』と聞かれて『占有です』と言うことがありますか。」
と言われ、
「そうか。」
と思いました。
それで、口述の主査の先生から
「それでは『堂々巡り』ではないですか。」
と言われて
「これは支配だな。」
と確信しました。
辰巳のあの口述模試受けていなかったら、しょっぱなからつまずいて大変なことになっていたと思います。
本当に感謝です。
ちなみにこの再現は1日目の午後の試験が終わってホテルに帰ってからすぐにノートにダーッと書きました。
書くことで失敗を見つけてしまうおそれがあるとして、再現はやめておこうとも思ってました。
しかし、再現はどうせ書くつもりだったし、そうすると無意識のうちに刑事のことを頭にとどめておこうという意識が働き、反芻思考のように刑事を思い出してしまい民事に集中できないと思いました。
それで再現をすぐに書いたのですが、頭がスッキリしたので結果的には刑事の再現を書いてよかったです。
また、1日目の終わりにネットを見たり伊藤塾の休憩所に行くことはしませんでした。
これこそ自分の失敗があらわになってその日の夜や翌日に響くおそれがあるし。
それに民事も「1日目に出たものが出ない」と山を張るのは良くないと思っていました(口述過去問を見ていない人のために詳しくは伏せますが、1日目と2日目で同じようなものが問われたことがあります)。
あと、何だかんだ1日目に出たものに引っ張られそうなのもあります。
たとえば、1日目に所有権に基づく妨害排除請求権としての抵当権設定登記抹消登記請求権が出題されたと知ったら、
「これは出ないだろう。」
とも思いつつも頭にやっぱ残るので
「ちょっとはやっておこう。」
となりそうなんですよね。
それで謎に他の分野より濃く勉強してしまうみたいな。。
なので、何が出題されたかわからないフラットな感じで臨むのがぼくはいいと思います。
それと、主査が表情を変えない人で怖かったですねー(マスクをしていたのもあると思いますが)。
副査も基本的によくわからなかったです(主査の先生ばかり見ていて副査の先生を見る余裕は基本的になかったです)。
ぼくの部屋の進みは遅いほうだったのですが、その理由が受けてみてなんとなくわかりました。
刑事の番号は中盤(午後組)でしたが、待ち時間は頭をクリアにすることを意識して基本的に勉強しませんでした。
午前は3時間ほど詰め込んでいたのもありましたし。
トイレは体育館にいたときに3回、発射台に連れていかれたときに1回行きました。
【使用教材】
刑法
- 重問
- アガルート論証集
- 条解テキスト
- 論パタテキスト
- オートマシステム
刑訴
- 刑事実務基礎の定石
- 辰巳の青本(法律実務基礎科目ハンドブック)
- 重問
- 条解テキスト
- 論パタテキスト
『基本刑法』という基本書は各論は一応持っていたのですが、時間が無くて使えませんでした。
それよりもこれまで使っていた教材を完璧に近づけようと思いました。
最近のトレンドとして総論も詳しく聞いてくることがあるので、会場では各論だけでなく総論の『基本刑法』を読んでいる人も目につきました。
自分がやっていない教材だったので正直怖さもありましたが、あんな分厚い教材を2週間でやるのは基本的に無理なので、やることを絞って繰り返したのはやはり良かったと思います。
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コメント
口述試験お疲れ様でした!
いつも、ブログを拝見させてもらっています。
本当にいつも勇気づけられます。
私も今年口述試験を受けました。刑事も同じ問題です。私は、『支配』は言えたのですが、『事実上』がなかなか出てこず、だいぶまごつきました。倫理では条文答えて終了だったのでやばいかもしれません…。
民事はさらに悪いできなので、震えています笑
私も辰巳の口述模試を受けましたが、ペアの方が全く同じことを新庄先生から指摘されていました。もしかしたらエクソロさんだったのかもしれませんね。
どうか、合格してますように。
三田さんも口述試験お疲れさまでした!
いつもブログをご覧いただきありがとうございます。
同じ日程だったんですね!
普段言えるようなことでもテンパって言えなくなりますよね。。
ぼくも怖くて口述の情報収集ができておらず、自分の言ったことが正しいかよくわかっていません・・・。
民事もアレが聞かれるとは思っても見ませんでしたね。
パネルの契約書の日付を読みながら動揺しました。
>私も辰巳の口述模試を受けましたが、ペアの方が全く同じことを新庄先生から指摘されていました。もしかしたらエクソロさんだったのかもしれませんね。
→本当ですか!
先生の言うことをメモれずにオロオロしていたぼくにメモを見せてくれた方ですかね?
ライバル受験生でもあるはずなのに。
(名前も覚えています。)
もし違っていても同志のコメント大変嬉しいです。
三田さんも合格していますように。