※特に日付は全体的にあいまいです。
質問 | 答え | 内心の動き (思ったことや感じたこと) |
(ノック3回) | ||
(ベルの音。) | (ドアを開けて入室し、ドアを閉める。)
失礼します。 | |
(少し歩いて)
〇室〇番です。 よろしくお願いします。 | ||
本人確認をするのでマスクを外してください。 | (マスクを外す。) | |
はい、結構です。
それではおかけください。 |
「失礼します。」 (と言って座る。) | |
あなたはXの依頼を受けた弁護士Pです。
左側のパネルに記載の事例を読み上げますので聞いてください。 | はい。 | |
Xは、Aから「令和2年8月2日にYに200万円貸し付けたことによる貸金債権を180万円で買ってほしい」と言われて、これを令和3年〇月〇日に買った。 | 債権譲渡か! | |
AはYに対してAX間の債権譲渡を令和3年8月〇日に内容証明郵便を送り、これは令和3年8月31日に到達した。 | 第三者対抗要件の具備! | |
※あと1つ何かXの主張があった気がしますが、「200万円と利息と損害金が欲しい」みたいな感じでそこまで大事なことではなかったと思います。 | ||
パネルの消費貸借契約書も読んでください。 | はい。
(自分が読んでいる所がわかるように読んでいるところを指で追う。) | 自分で読むんか。
ってか、契約日と交付日が違うけどこれってどういうこと??
結局いつ消費貸借契約が成立したの??
これ聞くか? いやでも・・・。 |
はい、読みました。 | ||
今回は8月2日に契約がされたことを前提とします。 | はい。 | やっぱ8月2日か。 でも「前提」とかやっぱ違和感あるな。 |
それでは今回の訴訟物は何ですか。 | AY間の消費貸借契約に基づく貸金返還請求権1個です。 | 債権譲渡だから権利主体特定しないと。 |
ほかに~(主査が言い出した直後のタイミングで) | 利息契約に基づく利息請求権1個。
履行遅滞に基づく損害賠償請求権1個です。 | そうか、忘れてた。
|
そうですね。
それではこの消費貸借契約はどんな契約ですか。 | えっと、要物契約です。 | どんな契約?え??
消費貸借契約は要物契約だよね? |
今回は書面によってなされていますかよね? (または「今回は契約日と金員交付日が違いますよね?」だったかもしれません。)
| 書面による消費貸借契約、
587条の2の、、 | あ、そうか。
言いたいことが出てこない。 |
諾成契約としての消費貸借契約ですね。 | はい! | それだ!
ってか、民事の進みが刑事より遅かった理由がわかったぞ。
|
それでは元本債権の発生を基礎づける請求原因事実は何ですか。 | AはYに対し、令和2年8月2日、200万円を貸渡すとの合意をした。
この合意はAY作成の書面による。
AはYに対して、この合意に基づき、令和2年8月21日、200万円の金員を交付した。
AとYはこの合意の際、返還期日を令和3年8月〇日とすることを合意した。
令和3年8月〇日は到来した。 | LECの口述模試であったやつだから知ってるぞ。
よし、言えた。 |
XがYに主張するのに必要なことはありませんか。 | AはXに対し、令和3年8月〇日、本件貸金債権を代金200万円で売った。 | あ! |
200万円ですか。
| 180万円で売った、です。 | あ! |
そうですね。
それでは右側のパネルを裏返してください。 あなたはYの依頼を受けた弁護士Qです。 読み上げるので聞いてください。 | はい。 | |
私はAとの間でXが言うように消費貸借契約を結んだのは認めます。
しかし、その際、貸金債権の譲渡を禁止するとの合意をしました。
これは契約書に記載されていたのですからXも知っていたはずです。
それから私はAから、Bに対し令和3年8月〇日に本件貸金債権を相当額で売却したことについて、令和3年8月〇日発送で令和3年8月30日到達の内容証明郵便で私のところに届きました。
※あともう1つ何か記載があった気もしますが、Yの言い分のまとめ的なものでそこまで大事なものではなかったと思います。 | ||
契約書についても読んでください。 | はい。 | |
はい、読みました。 | さっきのパネル1との違いは手書きの特約の有無だよね? | |
それではあなたはYの主張1についてどんな抗弁を主張しますか。 | 債権譲渡禁止特約の抗弁です。 | 「制限」でなくていいよね? |
それはどんな効果を主張しますか。 | 私は(Y側に立ったつもりでとっさに「私」という言葉を使う。)
YはXに対して、本件貸金債務の履行を拒絶する。です。 | 効果?抗弁事実ではない? |
履行拒絶を主張するということですね。
(何かもう少し詳しく言ってくれたような。 とにかく善意解釈してくれた。) | はい。 | |
では主張2についてどんな抗弁を主張しますか。 | えーっと、
第三者対抗要件が具備されているので、、債権喪失の抗弁です。 | 大島本でやったからわかるけど、一瞬名前が出てこない。 |
第三者対抗要件具備による債権喪失の抗弁ですね。 | はい。
| 言い直された。
ってか、思考プロセスを声に出すの大事だな。 |
ではパネル1の表と裏を見ながら考えてください。 | はい。 | 表と裏を見るなんて新しいな! |
Xは主張2に関する主張をしたいと思っています。
これは再抗弁になりますか。
判例の立場も踏まえて答えてください。 | なりません。 | Bへの通知のほうが1日到達が早いから再抗弁にはならないな。 |
その理由は何ですか。 | 債権が二重譲渡された場合の優劣は債権譲渡通知の到達の先後で決まるからです。 | |
本件で言うとどうなりますか。 | AB間の債権譲渡については令和3年8月30日に内容証明郵便が到達し、AX間の債権譲渡については令和3年8月31日に到達しているので、AB間の債権譲渡が優先します。
| |
そうですね。 | ||
次は文書の成立などについてお聞きします。
QがYが持っていた金銭消費貸借契約書を提出しました。
これについてXは
「Aの押印をAが押したものと認めます。 しかし、Aから本件貸金債権の売却を受けた際譲渡禁止特約についてAから何も聞いていませんし、そのときに見せられた消費貸借契約書には特約が書かれていませんでした。
ですので、Aが押印した後にYが勝手に特約を書き加えたと思います。」
と言いました。
このXの主張を受けてあなたは契約書のA作成部分の成立の真正についてどのように認否しますか。
| 文書が成立については否認し、Aの印影がAの印章によることは認めます。
(主査の反応があまり良くない。)
「特約はYが勝手に書き加えたものである。」
と言います。 | |
文書の成立についてどのように判断がなされますか。 | まずAの印影がAの印章によることは認めているので、Aの意思に基づく押印が事実上推定されます。
これによって、本件文書は私文書なので民訴法228条4項で文書全体が真正に成立したものと推定されます。 | 二段の推定だ。 |
本件でAの意思に基づく押印があったことの推定は必要ですか。 Aが押したことについて争いがないんですよ? | 必要ありません。
Aの意思に基づく押印があることは争いがないので。 | あ! |
あ、そもそも民訴法228条1項で文書を提出した人が文書の成立の真正について証明責任を負います。 | 「1項から言っておかないと。」 と思いつつ、言いながら言わないほうが良かったと後悔。 | |
そしてAの意思に基づく押印があるので、228条4項で文書全体が真正に成立したものと推定されます。 | ||
1段目の推定は必要ないということですね? | はい! | |
ではXが主張する 「Aが勝手に特約を書き加えた」 という主張は何にあたりますか。 | 理由づけ否認です。 | なんだ?規則145条のやつか? |
※何かを言われた (でもそんな大それたヒントではなかったと思う。) | 反証です。 | |
そうですよね。
それではまた少し変わります。 QはYの依頼を受けた際はBの氏名を聞いていませんでした。
しかし、Bに訴訟告知をしたいとなった際に、その人が顧問契約を結んでいるBであることがわかりました。
この訴訟告知をするにあたり、弁護士職務基本規程上問題になることはありませんか。
| Bは顧問契約を締結しているので弁護士職務基本規定28条2号で問題があります。
訴訟告知をすると参加的効力が生じるのでYが敗訴したらBに訴えを提起することになり、問題が生じます。
| 顧問のやつか!28条2号!
でも訴訟告知か。。
よくわからんけど訴訟告知と言えば、参加的効力。もう少しちゃんと説明しないと。 |
Yが敗訴する前に何か問題になることはありませんか。
訴訟告知をされたらBはどうなりますか。 | 補助参加します。
補助参加人は独立して訴訟追行するので、、その、、QはYとB双方の弁護についてベストを尽くせなくなります。
(主査の反応が微妙。) | |
そうなったらBはどうなりますか。
28条2号の文言上の何にあたりますか。 | 「相手」です。 | |
そうですよね。
「相手方」ですよね。 | はい! | |
「何かありますか。」(副査に確認。) (副査は首を横に振る。)
| ||
よく理解されていますね。 | ありがとうございます。 | |
以上です。 終わります。 | (起立) 「ありがとうございます。」 | やばい、 「ありがとうございま『した』。」だ。 |
(ドアの前に少し歩いて) 「失礼します。」 | ||
部屋の外に出て階段を下りて別の建物へ移動 | やっと、終わった~♪♪ | |
階段を上るときに海が見える。 | うわー、すっげーきれい! 最高だ。 |
(図表) パネル1表
1.Xは、Aから「令和2年8月2日にYに200万円貸し付けたことによる貸金債権を180万円で買ってほしい」と言われて、これを令和3年〇月〇日に買った。 2.AはYに対してAX間の債権譲渡を令和3年8月〇日に内容証明郵便を送り、これは令和3年8月31日に到達した。 3.※あと1つ何かXの主張があった気がしますが、「200万円と利息と損害金が欲しい」みたいな感じでそこまで大事なことではなかったと思います。
金銭消費貸借契約書 1.AはYに対して200万円を返還期日令和3年〇月〇日、利息年1割、遅延損害金年1割2分の約定で貸す。 2.AはYに対して令和2年8月21日に金銭を交付する。 ※もう少し何か記載があった気がします。 令和2年8月2日契約
パネル1の裏 AX間債権譲渡:令和3年〇月〇日 AB間債権譲渡:令和3年〇月〇日 内容証明郵便発送:令和3年〇月〇日 内容証明郵便発送:令和3年〇月〇日 (※発送自体はAX間のほうが早かった) 内容証明郵便到達:令和3年8月31日 内容証明郵便到達:令和3年8月30日 |
パネル2
1.私はAとの間でXが言うように消費貸借契約を結んだのは認めます。 しかし、その際、貸金債権の譲渡を禁止するとの合意をしました。 これは契約書に記載されていたのですからXも知っていたはずです。 2.私はAから、Bに対し令和3年8月〇日に本件貸金債権を相当額で売却したことについて、令和3年8月〇日発送で令和3年8月30日到達の内容証明郵便で私のところに届きました。 3.(あと何か記載があった)
金銭消費貸借契約書 1.AはYに対して200万円を返還期日令和3年〇月〇日、利息年1割、遅延損害金年1割2分の約定で貸す。 2.AはYに対して令和2年8月21日に金銭を交付する。 ※もう少し何か記載があった気がします。 譲渡禁止特約 Aは本件貸金債権の譲渡を禁止する。 ※譲渡禁止特約は手書き
令和2年8月2日契約
|
【時間】
15~20分くらい?
刑事よりは早かったかも。
そんなに長くは感じませんでしたが、時間感覚がバグっている状態なのでご了承ください。
【感想】
まずパネルの金銭消費貸借書を自分で読んでいるときに契約日と金員交付日が違うのに面食らいました。
「普通に考えればわかるでしょ。」
と思うかもですが、これがわからないんです。
諾成契約としての消費貸借契約は、お金を貸したほうの請求については大島本に載っていませんでしたが、LEC模試の解説で学習していたのでラッキーでした。
(大島本に載っていたのはお金を借りる側の請求。)
だからLECには本当に感謝です。
大島本に載っていない以上、多くの受験生ができないと考えられますが(LEC模試もそう多くの人が受けるわけではないでしょうし)、最初のほうで問われたことなので、わからないとメンタルが崩壊していた可能性があります。
パネル1の裏側はわかりやすいようにするために設けられたのでしょうが、表だけで事案を把握できたので個人的には必要ありませんでした。
ただ、発送はAX間のほうが早かったのでその辺の知識の正確さを見る意図もあったのかもしれません。
民事の主査・副査の先生は優しかったというか、普通に人間味がありました。
刑事の先生が人間味がなさ過ぎて民事の先生方がすごく優しく感じました。
あと、
「~ということですよね。」
とめっちゃ善意解釈してくれたからこういう面ではめっちゃ優しかったかなと。
ぼくは刑事から民事でしたが、逆だったらそのギャップが悪いほうに作用していた説があります。
【使用教材】
要件事実
- 大島本上巻
- 新問研
文書
- 大島本入門編
倫理
- 大島本入門編
民訴
- 条解テキスト
- 論パタテキスト
- オートマシステム
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